データ構造とアルゴリズムとは?

ソフトウェア開発

プログラミングの学習をしている方やソフトウェア開発者の方は「データ構造とアルゴリズム」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。聞いたことはあって、学んでおいた方がいいと言われたりするけど、きちんと勉強したことがないという方も多いのではないでしょうか。今回はそういった方に向けてデータ構造とアルゴリズムについて説明したいと思います。

データ構造とアルゴリズムとは

まずデータ構造とは配列やリスト、スタックやキューといったデータを保持する様々な構造を指しています。アルゴリズムとは目の前の問題に対してどのようなロジックで答えを導き出すかという手順を指します。

どちらも特段意識することなく普段のプログラミングで使っているかもしれませんが、これらを意識してきちんと勉強しておくことで驚くほど簡単かつエレガントなコードを書けることがあります。プログラムを書ける人はたくさんいても、アルゴリズムを意識してできるだけ簡単に解答にたどり着くようなコードを書ける人はあまりいません。さらに言うと、データ構造を理解して正しいアルゴリズムを構築できた時点でプログラミング作業の9割は終わっているとも言えます。あとは手を動かしてコードを書くだけなのです。このように重要な項目のため、大学の情報学部などでは必ずと言っていいほどデータ構造とアルゴリズムの授業があります。ただプログラムが書けるだけのプログラマー or 開発者から一歩先を行くためにも、きちんと学ぶ価値があるのです。

またデータ構造はプログラミング言語によって若干違いが見られる部分もありますが、アルゴリズムは基本的に言語に依存しないロジックという概念なので、一度理解してしまえばあらゆる言語で応用することができます。そういった意味でも学ぶ価値の高いものになっています。

勉強するメリット

データ構造とアルゴリズムをきちんと理解しておくことでどのようなメリットがあるでしょうか。具体的にいくつか挙げてみましょう。

効率の良いコードが書ける

ある解きたい問題に対して、正しいデータ構造と正しいアルゴリズムを使って答えを導くと、思っているよりもずっと簡潔なコードで書けるということがしばしばあります。逆にそれらのアルゴリズムを知らないと、動作としては正しいけど冗長で読みづらいコードが出来上がってしまうことになります。

よく使う例として、ある整数の偶数奇数の判定は2で割った余りを利用して、このように簡潔に書くことができます。

if (num % 2 == 0) {
  System.out.println("偶数");
} else {
  System.out.println("奇数");
}

簡単に見えますが、もしも思いつかなければ下一桁の数値で判定するような冗長な書き方になってしまい、効率的なコードとは言えなくなってしまいます。

このように適切なアルゴリズムを応用できるか、あるいは思いつくことができるか、によって動作は同じでも全然違うプログラムが出来上がることになります。どうせ書くのであれば簡潔かつエレガントで、誰が見ても納得できるようなアルゴリズムで書けた方がいいですよね。

解けない問題がなくなる

解こうとしている問題が複雑で難しいケースというのもあると思います。どういうロジックやアルゴリズムを使えば解けるのか見当もつかないときもあります。少しでもアルゴリズムの引き出しを多く持っているだけで、そういった場面でも解答にたどり着けることがあります。プログラムでは実現できなそうなので仕様を変更させてもらおうかと思ったときに、思いついたアルゴリズムを適用するだけで問題が解けたという経験もあります。データ構造やアルゴリズムはプログラマーやソフトウェア開発者にとって大きな武器であり醍醐味でもあるのです。

プログラミングが楽しくなる

このようにデータ構造とアルゴリズムを適切に使ってエレガントにあらゆる問題を解決することで、プログラミングそのものが楽しくなってきます。今までの書き方ではきちんと動作しなかったり効率が悪かった部分が数行で簡潔に書けることを知ったとき、「そんな解法があったのか!」とテンションが上がります。単純にスッキリする感覚とプログラマーとしてレベルアップした感覚を得ることができます。

ある程度プログラムを書けるようになってきたけどどこか限界を感じている、使いこなせている感じがしない、という方は是非データ構造とアルゴリズムの世界を体験してみるといいと思います。きっと技術者としてさらにレベルアップできること間違いなしです。

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勉強方法

データ構造とアルゴリズムについて学ぶには専門の本を読むのが第一の選択肢になります。初心者向けのものや、競技プログラミングの攻略本のようなもの、IT企業の面接を意識した本など色々出版されていますので、自分のレベルや目的に合った本を選んでみてください。

その他の選択肢としておすすめしたいのが競技プログラミングです。コーディングの速さや動作を競う性質のものですが、その本質はいかに正しいアルゴリズムを使うかということにあります。本よりはハードルが高いように感じるかもしれませんが、より楽しく手を動かして学ぶことができると思うので試してみてください。

おすすめはやはり国内で人気のAtCoderになります。

AtCoder:競技プログラミングコンテストを開催する国内最大のサイト
プログラミング初級者から上級者まで楽しめる、競技プログラミングコンテストサイト「AtCoder」。オンラインで毎週開催プログラミングコンテストを開催しています。競技プログラミングを用いて、客観的に自分のスキルを計ることのできるサービスです。

時間に制約があったりもするので、参加が難しい方はこちらで紹介されているような代表的な過去問に触れて実際に解いてみるだけでもアルゴリズムの世界を体感できると思います。

AtCoder に登録したら次にやること ~ これだけ解けば十分闘える!過去問精選 10 問 ~ - Qiita
NTT データ数理システムでリサーチャーをしている大槻 (通称、けんちょん) です。 好きなアルゴリズムは最小カットやマッチングですが、会社ではなぜか「DP が好きな人」と呼ばれています。今回は、最近注目度が急上昇している AtCo...

まとめ

今回の内容をまとめたいと思います。

  • データ構造とアルゴリズムを正しく使えることで、1段上のプログラマーやソフトウェア開発者になれる
  • 効率の良いプログラムを書ける、より多くの問題が解けるようになる、プログラミングが楽しく感じる、といったメリットがある
  • 本や競技プログラミングで実際に複数のアルゴリズムに触れることで体得できる

新しいデータ構造やアルゴリズムに触れたときは難解でくじけそうになるかもしれませんが、一度身につけると大きな武器になります。プログラマーやソフトウェア開発者として間違いなくレベルアップすることができます。プログラミングを楽しむためにも上記の勉強法などで是非データ構造とアルゴリズムと向き合ってみてください!

お読みいただきありがとうございました。

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